「猫ひっかき病」を正しく知り、ネコともっと仲良くなろう!

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「猫ひっかき病で突然失明」という衝撃的な記事が、2日ほど前からWEB上で出回っています。

 

「猫ひっかき病」を侮るな。結膜炎だと思っていた女性がある朝突然失明(米)

猫や犬にひっかかれたり接触したことで、深刻な全身の症状を引き起こすこともある「猫ひっかき病」。このほど米オハイオ州の女性がそれが原因で視力を失ってしまい、愛猫家の間で波紋を広げている。

『WFLA-TV』が伝えているところによれば、飼い猫に左目を舐められて少し経ったある日、突然目が見えなくなってしまったというのはオハイオ州トレドに暮らすジャネス・ウォルターズさん。「猫に舐められて結膜炎を起こした。視力に不安を感じるような予兆はなかったのに、ある朝突然視力を失った」と訴えたウォルターズさんに、医師は「猫ひっかき病(英名:Cat scratch disease 以下CSD)」という予想外の病名を告げたのであった。

CSDとは、猫や犬が持つバルトネラ属の細菌がヒトに感染すること。日本では猫の10%ほど、特に仔猫の保菌率が高く、夏から秋にかけての発症例が多い。潜伏期間は数日〜数週間で直径5mm以内の赤い発疹が生じ、その後に体のあちこちのリンパ節が腫れて、発熱も半数以上にみられる。健康な成人では自然治癒も期待できるが、頭痛や意識障害を訴える脳症や結膜炎の合併症があり、傷口とは離れた脳、眼、心臓など重要な臓器に影響を及ぼすことがある。重症化するのは免疫力が低下した人や高齢者、5歳未満の乳幼児での発症がほとんどだという。

トレド大学のクリス・ブリックマン医師は『WTOL』の取材に、「ネコ科の動物の40%がCSDを引き起こす細菌を持っています。動物同士では発症せず、人間にのみ悪さをします。ペットを飼っている人は頻繁にその手を洗うことを心掛けて欲しい」と話している。1年ほど前には英サマセット州ウィンシャムで、飼い猫が哺乳瓶をペロリと舐めたことが原因で赤ちゃんが「急性髄膜炎」を発症し、死の淵をさまよったことが大きく報じられた。こちらは猫の唾液に含まれていた「パスツレラ菌」が原因だという。

 

 

記事の出元は、イギリスで最も古いタブロイド紙「デイリー・メール」です。ゴシップ記事なども多く扱っており信憑性はひょっとすると微妙かもしれません。

衝撃的な記事ほど上っ面だけがシェアされてしまいがちですが、こういう時こそ冷静な判断が必要ですね。

「猫ひっかき病」というちょっと聞きなれない病名だけに、“恐ろしい!” “危険!?”などというワードが先行してしまわないように、いったいどんな病気でどう対処・予防すればいいのか、日頃から知っておきたいものです。

 

 

「猫ひっかき病」とはどんな病気?

ネコに引っ掻かれたり噛まれた傷から感染するリンパ節炎。日本のネコのおよそ1割が保菌しているとのことですがネコ自体への病原性や症状はなく、ネコからネコへの感染にはネコノミが関与しています。

症状は、感染後10日ほどでリンパ節の痛み・腫れ、発熱などがみられます。特に治療を行わなくても自然に治ることがほとんどですが、治癒するまでに数週間、場合によっては数ヶ月もかかることがあるので病院で診てもらった方が安心です。免疫不全の人や免疫能力の落ちた高齢者では、重症化して麻痺や脊髄障害に至るものもあるそうなので注意が必要です。

 

できる予防法は?

この病気の感染経路はノミ→ネコ→ヒトです。飼いネコであればノミからネコを守るためのノミの駆除は、飼い主さんが当然行っているかと思いますので、普通に飼いネコと生活していてすぐに感染するような病気では無さそうですが、更なる予防法として、飼いネコは外に出さない、ノラネコや子ネコと接する時には引っ掻かれるようなことをしない、感染が多い夏~秋は手洗いをマメにする、などがあると思います。

 

 

1992年にバルトネラ・ヘンゼレという病原体が特定されたこの病気は、日本ではまだ十分な調査が行われていないようで、「猫ひっかき病」について調べていて症例などの情報が極端に少ないように感じましたし、これからいろいろなことが解明されていく病気なのかもしれません。

飼いネコのためにも日頃から、新しく正しい知識を得る術を身につけておきたいですね。

 

 

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