映画「犬と猫と人間と」 殺処分の現実を知る必要がある訳

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2009年に完成した自主制作映画「犬と猫と人間と」は、飯田基晴監督が稲葉恵子さんという猫の世話をしているおばあちゃんに出会ったことがきっかけで作られました。

自分の先は長くないから若い人たちに継ぎたい。 そのために映画を作って欲しい。

 

飯田監督はこれまで動物に関心があったわけでもないので、何を撮影したら良いのかわからず街中で犬を散歩している飼い主にインタビューするところから始まります。

そして、ペット産業とその裏に隠された犬猫殺処分の現実を知るのです。

「動物愛護センター」と名乗る各地域の保健所、民間の愛護団体、個人のボランティアさん、イギリスのシェルターなどを取材する中で、沢山の犬と猫と人に出会います。

 

 

地域によって保健所のあり方は様々です。 「動物愛護センター」と名乗っているのに譲渡の努力を放棄し「殺処分センター」と化しているところ。 民間と協力し、できるかぎり殺処分を減らす努力をしているところ。

連れて来られた犬猫は、どの地域のセンターに連れて来られたかで、翌日の生死が決められてしまうのです。

そして、殺処分のボタンを押す行政の人たちの強烈な言葉の数々。

 

 

現場で活動されている方は、みなさん強い意思を持ち、そしてその意思(考え)がそれぞれ異なります。

そして、それらの意思に正解も不正解も無いのです。

殺処分する行政が悪いのか、犬猫を捨てる民間人が悪いのか、そのようなシステムを生んだペット産業が悪いのか・・・ そして、それらに共通することは「人間の仕業」。

 

 

この映画は目を覆いたくなる残酷なシーンは無いと思いますが、初めて現実を知る方にはショッキングな内容かもしれません。

ぜひ、ショックを受けてください。

 

 

多くの人がショックを受けることでしか、このシステムは変わりようが無いのです。

一部のボランティア団体や個人の方が、生活を犠牲にして日々小さな命を守っていますが、それには限界があるのです。

もっともっと多くの人が現実を知り、自分にできることは何かを考え、行動をすることが必要なんです。

各自できる事は違うし、手段は色々あると思います。

ソーシャルメディアで伝えていくこと、少しの時間をボランティア活動に充てること、お給料の中から少しの額を寄付すること、保護活動をすること、里親さん探しをすること、自分の得意分野で啓蒙すること、手段はいろいろ。

 

 

この映画を見た人が、何かを考え何かしらの行動にうつした時に、映画の冒頭で「人間も好きだけれど…、動物のほうがましみたい」とつぶやいたおばあちゃんが、“人間も捨てたもんじゃない”と天国で少しは安心してくれるかもしれません。

 

追伸:今回の上映会の主催者であり、お誘いくださった木村悦子さんに感謝いたします。

 

 

太田匤彦さんの著書、「犬を殺すのは誰か ペット流通の闇」は、犬猫好きには知っておいて欲しい内容が書かれた良本です。

 

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